永井百合子が提案する・・・遊びや茶事の愉しみ


by kuyugengen

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晦日月は、横浜の“三吉演芸場”に歌丸さんの落語会を拝聴しています。今月は円楽襲名披露も兼ねての特別公演です。前座があり好楽さん 歌丸さんの落語・仲入があって、歌助さんの“ほうかん踊り”口上の後は、いよいよ円楽さんの落語「河童狸」別名 浜野矩隋(はまののりゆき)彫金の名人を父に持ち後継者である息子の技を継承する過程の葛藤と苦悩、そして一人前になっていくという人情噺です。円楽さんの巧みな話芸に心を打たれました。

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後を継いだ息子に、父の亡きあと義理を感じて作品を買っている骨董屋に、目をかけて貰うものの、できた作品は、河童のような・・・!狸のようなと言った駄作ばかり、この度は愛想をつかされてしまう。「お前のような勘の悪い職人は死んだ方がいい」と悪態をつかれ、手切れ金を渡される。トボトボ帰って来た息子の様子が変なので、その顛末を聞き出した母は「そうだ 死んだ方がいいョ」と息子に言う。「しかし死ぬ前に、私はお前より長生きしそうなので母の為に形見の観音像を造ってくれ」と頼む。死に者狂いで彫りあげた観音さまは誠に素晴らしい!母はこの像を主に持って行き30両貰って来るように云い聞かせる。跡継ぎ息子の将来を祈る母親の細やかな心情を豊に演じあげた。この作品は、おそらく円楽十八番となるであろう名作でした。


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母は息子が、父と違わぬ技を会得したことを得心して、一人前の男になれるよう願いながら自ら命を絶つ。骨董商は、息子が造ったとは知らず言うままに払ってくれた。そして母に云われた一部始終の話を語る。母と水杯のように半分づつ水を飲んで来たことも話ス、ふと母の死を予感して息子は急ぎ、家に飛び帰るというクライマックスがある。しかしそれからと言うもの矩隋(のりゆき)は、国中の評判を得て名声を轟かせる。今までの駄作でさえ、是非にと云われ100両もの大金で売買されるようにもなる。下手で無価値な作品でも、肩書きや極めが付くと急に高い価値がつくこともある。そうした事をひにくって、浜野矩隋(はまののりゆき)だね・・?とそうした代名詞で呼ぶこともある。お蔭さまで、古典落語の真髄に今宵も酔いしれてしまいました。



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一年間の襲名披露は、いずれの世界でも、大きな舞台のようです。歌丸さんの芸暦は、ちなみに今年で59年であると伺いました。まさに大御所の貫禄です。
by kuyugengen | 2010-05-31 23:17 | 歌丸さんの落語集

揚巻の帯と衣装


花魁白玉の打ちかけは、重陽の節句「まがきの菊」がモチーフになっていて、まさに絵巻ものを見ているかのようです。
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歌舞伎衣装の中でもひときわ豪華な衣装に揚巻の衣装と帯が印象的です。吉原の花魁の打ちかけは四季の花々が品良く整えられています。無病息災を願う大胆な節句の文様は珍しい!金銀の御幣をあしらった、鏡餅のお飾り干し柿までついているのは愉快です。おそらく人日の節会をモチーフにし伊勢海老・ゆずり葉はどの役者の衣装にもお決まりのようです。端午節句を表した“まな板帯”は、登竜門を登って鯉が龍になったという中国の故事によるもの、私が個人的に感心している帯は、七夕の短冊尽くしです。「七夕★の二人の間には、意休と言う天の川があり」と悪態を云う台詞も聞かせどころ よくこのような手の込んだ衣装を考え、作ったものだと観る度に感心しています。

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役者の衣装はそれぞれ基本の約束ごとは決まっていて、少しづつ色合い・文様などに変化があります。その家の伝統や特色があるように感じます。
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歌舞伎座「さよなら公演」の口上で知った、助六の江戸紫の鉢巻は、三代将軍家光からの拝領・傘・尺八は、ご贔屓からのもので 二代目団十郎からこのスタイルを守り受け継いでいるとのことでした。
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仇の意休の扮装も中国的な、明綴れを模した衣装・金襴は、豪奢で重たいものですが、金満家の雰囲気をうまく表しているのは面白い!
by kuyugengen | 2010-05-27 10:45 | よもやま雑宝帳

今日は早めに稽古を終え 新橋演舞場の「助六由縁江戸桜」を観劇に行きました。歌舞伎座さよなら公演では、団十郎の円熟した助六を拝見しましたが、今回は、海老蔵の少しほっそりした面差しの中に艶やかな色気も感じさせ観客を魅了しています。今まで“助六”は、仇を見つけて幕となるものの、 22年ぶりの上演されると言う「水入りの場」もあり完結編です。 ラストは、仇討ちをはたし、瀕死の体で、天水桶の中に身を隠し気を失いそうになってふらつく助六の前に揚巻演じる「福助」が現れ、追っ手を追い払おうと名調子で啖呵をきると言う 大迫力!ラストシーンのみせ場は、水を効果的に使い 大熱演 誠に素晴らしいかった!d0133199_17232.jpg




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「助六」は曽我五郎時致兄弟の仇討ち話がベースになっていて、助六は、花川戸と云う侠客となって“宝刀友切丸”探す。仲之町の花魁も華やかに大勢出演する、粋で豪華な舞台構成です。本日は、艶やかな海老さまに、たっぷりと、にらんで貰いましたので夢ごこちでーす!河東節の華やかな調べに乗って「待ってました!」花道の出端も、中々ゆっくりと もたせて観客をことの他愉しませていました。写楽の絵姿のような歌舞伎者は実に美しい・・・・!
by kuyugengen | 2010-05-26 23:44 | よもやま雑宝帳

あぶりもち神事のこと


5月15・16・17日の3日間野町の神明宮は、300年も続いていると云う「あぶり餅神事」が有名です。町の人には「おしんめさん」と呼ばれ親しまれている。また境内には、樹齢1000年の大ケヤキもあり、家内安全・災難・厄除けなどに、ご利益もあると伝えられています。神殿では50年ぶりに公開されたという「神明えびす」も鎮座して参拝客をもてなされていました。今日は金沢の稽古も最終日荷物を作る前に急ぎ自転車を飛ばして、えびす様のお顔など拝顔に伺いました。夕方なのでしょうか?人もまばら あぶり餅を買うのも楽でした。帰り道にタクシーの伊藤さんと会い、自宅でお茶を飲みお初にお目にかかるあぶり餅に舌鼓を打ちました。「初めてこの日に縁あったこと」など話しながら、ほのかに生姜の香のする醤油味 生オカキのような不思議な食感にも驚きました。「厄除けの神事も多い所だナぁ」とつくづくと感心!

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      このえびす様は鯛を小脇にかかえて、急ぎ足のご様子です。福福しいお顔です!

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左の"あぶり餅”は、お守り用で味付けのないタイプです。

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             上のあぶり餅は、頂戴するタイプです。
by kuyugengen | 2010-05-16 19:39 | よもやま雑宝帳

金沢の方々は日ごろから餅が大好きのようです。このかき餅は、オーブントースターの弱火 箸で軽く叩きながら、根気よく焼いたものです。この5種のかき餅は、さっぱりと美味しくて毎年この方の作るかき餅を楽しみに相伴しています。左手のあられは、最近赤ちゃんを授かり、嫁がれたお嬢さんがお産のために里帰り産後、赤ちゃんを見にこられた方へ手土産に"あられ”をお印にするしきたりが金沢近郊の田舎に残っているようです。「生姜と砂糖」のほのかな味が後をひくあられです。兎も角も 餅系の弾力のあるものが、好きなお国柄のようです。

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金沢では「指貫き・お針道具」など手作りの可愛らしいグッズがあるようです。知人の紹介でこのような愛らしい指貫きを少しずつ作って貰っています。上部は手毬が糸で巻いてあります。ボタンのようにも、干菓子にも見える美しい針山でした。下の台座の部分は、ペットボトルの蓋が利用されています。木綿糸を用いているので耐久力もあり素晴らしい!
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by kuyugengen | 2010-05-13 18:16 | よもやま話

若葉さむのこの頃 


小さな庭にもいっせいに春がきました。白・赤・紫・若葉色と友禅流しのよう 先月まで土の見えていた場所も「あっそうそう」と植物の存在を意識する。思いもよらぬ所に種が飛んで「こんな所にこんな花あった!」と気のつくこともある。昨年山野草店で買った「花筏」の葉っぱの上に小さな花もたくさん乗っていて嬉しい・・・・!

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壷珊瑚・白雪芥子も生き生きと咲いていました。
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十二ひとえの紫の花も真直ぐに立ち咲いている。紫の裳裾を引きずっているようにも見えます。
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by kuyugengen | 2010-05-12 08:08 | お花

今月のお菓子


本席のお菓子は吉はしさんの色紫・薄茶席のお菓子は、筏煎餅・うんぺい・落雁です。いつもながら加減の良いお菓子でした。

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by kuyugengen | 2010-05-09 19:41 | お菓子

私の存知よりの京都の名物切れは、名物切れを研究・制織している会社です。近年上杉神社所蔵の胴服が昔から緞子・金襴の切嵌の手法で、茶の切れと同様であることに着目、素晴らしい胴服が製作されました。今日は、無理を言ってこの胴服を茶会のためにと拝借いたしました。このような緞子・金襴を切嵌にして身に纏うという武将は、おそらく明国からの舶載品である名物切を幾枚も所有していると言う証であり自慢でもあり戦国武将のバサラけたお洒落ということです。
美しい切嵌の胴服は、今まで2点製作されたようです。感心した点は新しい切れをあえて水に潜らせて何気に質感を出していることです。「中々いい感じにできています」きっと茶会にお見えになった方々もお喜びになられることでしょう!切嵌を制作するコツは切れの時代を合わせる・質感を合わせるということで色合いは割りに合うものです。この胴服は、現代の切れを統一してあるのでしっくりと纏まった作品に仕上がっています。

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待合のお湯は端午にちなみ屈原の愛した春欄のお湯を用意しました。屈原は楚の国の国王の側近の政治家で人望も厚かったのですが、陰謀により裏切られ5月5日泊羅(べきら)という川に身を投げ、以後人々は、屈原は「泊羅の鯉になられたであろう」と威徳を偲び川に粽を投げその日を供養日とした。そして中国の年中行事となったようです。中国では、また5月5日を毒月とも呼び日本でも軒先に菖蒲・蓬・ガジマロなどを「魔除け」として飾る風習が伝わったようです。端午は月の初めの午の日で5日であるとは決まっていなかったようです。

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       煮物椀は枝豆と海老の真千代ぜんまいの青味を留めにして柚子の花です。

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八寸の珍味は能登産の野生の片栗の根と鰻の八幡巻きです。野生の片栗の根は金沢でも珍しく百合根とくわいを合わせたような味です。この季節の幸せな瞬間のよう!今年は食材も稀で10日ずつ遅れているので、お店も献立が大変です。今月の祝儀酒には菖蒲酒(花菖蒲の根を漬け込みました)5月限定群馬の淡緑・銭屋先代からの限定竹葉・大宰府の永遠之今と美々なるお酒を揃えてみました。ようやく献立に合うお酒の所望も考えれるようになりました。

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本席の掛軸は、竹侘の「竹林之図墨蹟」野竹の絶えて力強い漢詩のすさまじき表現で詠う。大正14年の夏 梅道人の詩を借りて題スとある。竹侘は竹田の弟子でこの作品は傑作です。花は木香薔薇とあざみです。
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薄茶席は茶籠 手の平に入ってしまいそうな極小の籠です。中に納まった品々もそれぞれ愛おしいもので、毎年端午に使っています。男の子の節句なのですが、この茶籠のお陰でご婦人も充分に節句の愉しみに浸れるようです。

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本席の床は雲華上人の根欄便面軸と漆桶に菖蒲の花です。具足飾りをして端午の雰囲気を表しました。雲華上人は東本願寺の学頭を務められた僧侶であって欄の絵は特に有名です。清らかで芳しい画風が仁考天皇に献上するまでとなり豊かな墨蹟が讃えられた。

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by kuyugengen | 2010-05-09 09:41 | 茶事

皐月晴れの今日松江から毎年頂戴する"牡丹の花”が今年も美しい姿で届きました。花ビラは柔らかい薄紙で鉢巻のように括られていたので、そっと解いてやりますと「待っていました」とばかりに大きな花びらがスロウモーションを見るように手の中で開花します。何だか胎児を取り上げる瞬間のよう!これは初めての経験なので驚きました。さつそく長旅の疲れを癒したっぷり水をあげたので、明日の茶会では、皆さんに”綺麗”と褒めて貰えることでしょう!ありがとうございました。

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”炉の後は3畳青し時鳥”風炉の時期を迎えました。日差しの長さと新緑の若葉の緑の心よさもつかの間の時また猛暑・炎暑と騒ぐ時期もすぐそこに待って居るようです。風炉の時期は、道具組みも愉しく、茶の湯の風情も改まる時です。しかし金沢の夏は暑いので、初夏の茶は、七夕だけにして気候の良い10月からと考えています。やはり暑さは苦手でございます。空いた時間を利用して、少し遠出などしてみたいと考えています。今日は風炉の灰も美しく整い明日のお客さまをお迎えするのみとなりました。藪の内流の風炉の灰は、どのような種類の風炉であっても藤灰のみの使用となります。

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端午の茶会の用意も整いました。古銅の風炉・大西浄林兜釜・鐶付・鍬型くわ・水指・南蛮縄簾16世紀のものです。この水指は以前ベトナム沖で引き上げられたサルベージ物です。その時の沈没船には、残念ながら茶道具として使える品が少なくてこれは、ちょっと高額になりましたが、沈没船のどの位置に何が沈んでいたと言う目録もあり面白い経験でした。長い年月海の中にいたので、塩やさまざまの付着物も付いています。しかし私の為に落札してくれた方からの話では、十数年かけて美しい姿に戻したものであると説明を聞きました。そして毎年端午の茶会に使い私なりの供養をしています。広大な海の中には、まだたくさんの財宝が沈んでいるでしょう!しかしサルベージはたいへんな費用がかかるので、大きなギャンブルと云えるようです。

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釜を懸けてみると甲冑姿の武将が座っているようです。昔の人の遊び心はまことに素晴らしい!
by kuyugengen | 2010-05-08 10:29 | よもやま雑宝帳

5月の連休も日本晴れのよい天気・夏のような暑い日を挟み、昨日はちょっと纏まった雨が降ってどうやら一息ついたようです。明日は重五の茶事を行いますので今日は爽やかな皐月晴れ・鯉のぼりの登場です。端午に食べる柏餅は柏の葉は、新芽が出るまで落ちないので、子孫繁栄を喜び頂戴します。鯉のぼりなどを立てるようになった風習は、幕末頃からで日本的な子供の日のお祭りの風景です。回を重ねた茶会も少しずつ充実、気分的にも少し余裕を感じるようになる。

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by kuyugengen | 2010-05-08 08:57 | よもやま雑宝帳