茶籠の中は小宇宙です。力強い小品が詰っています!

時代藤組茶籠を見つけて、好みの仕覆を拵えました。切れ地はジャワの浮き織り19世紀の織物です。色もコンデションも良質で、異国情緒を感じる織物です。籠の紐も「細手の高麗組」を新調しましたので、ちょっとおしゃれになりました。

この藤組籠は、江戸時代のものでしょう!サイズも小振りなので程よい“旅持ち籠”と云えるでしょう!中に納められている道具組みも春爛漫の組合わせです。遠方より来る客人と共に兼六園のお花見への一服に携えようと、ひと飛び早い春を愉しんでいます。

茶わん・松ヶ枝不入(張りぬき筒)茶器・不入(瓢型張りぬき)香合(時代蒔絵小品)茶筅筒(黒柿に桜蒔絵)
茶筅筒(了入串団子)振り出し(御室窯)茶杓・時代象牙
藤組籠の中の道具も時代と季節がマッチして、愉しいひと揃えとなりました。茶碗・網袋・茶器・ヨーロッパ更紗(蝋引き)・香合・和更紗・茶杓・印度ストライプ

籠の内張りは堺更紗幕末で大胆な文様の和更紗です。籠の中には、エキゾチックな花が咲いているようです!籠の内張りには、意表をつく意匠が、愉しみ心をそそります。

茶巾筒は了入作の串団子文様、緑釉の色が綺麗です。振り出しは「御室窯」何だか「あくびちゃん」が飛びだしてきそうな形です。口は小さくても、それに会う振り出し用のお菓子もあるので驚きます。例えば和久傳の「艶ほくろ・福井大黒屋の彩花糖」などは、それにはお出会いのように感じます。

張りぬきの名人である松ヶ枝不入作の筒茶わんです。和紙の張りぬきは江戸時代から明治にかけて流行しましたが、茶籠の“仕込み茶わん”として持ち歩くには、たな心を心得たる名品です。茶わんを手にした時の軽さにも驚きがあり、見て感心、持って驚き二度のサプライズが嬉しい茶器です。茶筅筒は黒柿の材に桜蒔絵を施した作品です。もったいないほど細密な蒔絵の仕事です。

香合は草花文極小の可愛らしい作品です。茶杓は象牙芋の葉茶杓、時代の香りを感じる嬉しい作品です。
私の茶籠収集の中には、藤組茶籠がなかったので、縁あったこの収集品を「茶筥・茶器を愉しむ」のカテゴリーの中に追加しました。今回の写真は、私のつたない画像となりましたこと お許しください。
このキャピタン茶筥は気持ち大振りなので、本来の茶筥として使うのは無理です。私の主催する降誕茶会も常例になったので、使う茶道具を収納してみました。すべて普通寸法の茶器が隙間なく納められるので茶筥の中のように美しいものです。昨年のクリスマス茶会では、蔓付きの干し葡萄を抹茶のお供として使いました。キリストの儀式と茶道の点前が共通しているように思えます。



仕覆は十字文様のステッチの切れです。茶碗安食ひろバカラ塩釉
(ヨーロッパ更紗)
中次クルス蒔絵(19Cモール六の花)聖書の香合(18C金更紗)
茶筅筒螺鈿茶巾筒
茶巾筒一閑弁柄 茶杓象牙(サンタがソリでやって来た)をイメージ
(ジャワ更紗)
象牙の茶杓に合う ものにしたいと思い、和紙の筒を作り切れを張り茶杓筒を拵えました。

この茶籠に出会った時、心の中にハッとした驚きを感じたのを思い出します。高貴な方が、そっとこの籠の中に「虫を入れて愉しまれたのだろうか 今は、さだかではありません。しかしこの籠は可愛らしい! 茶事に使う茶籠にすれば、初夏に野山に持って行き、いっ服いただきたいものです。私は時おり、初秋になると 懐石の八寸などにも使い席中“ワァ”と 歓声が上がります。鹿皮の紐にも小紋の染めがあり、おしゃれな心意気を感じます。仕覆も籠のイメージをそこなわないように、紗と麻の小袖切れを二枚重ねて涼しげに表現しました。



この茶籠は中が揃っていなかったので、籠のサイズに合わせて18Cバカラ茶碗を見立てました。
一服茶入には乾隆キセ硝子仕覆は(ロシア更紗)茶巾筒に加賀の指貫を太くして茶巾ホルダに見立てました。茶杓は黒柿の笹の葉でオリジナルです。網袋は湿りのある茶碗などに使用すると、便利に使えます。茶筅筒を撮り忘れていましたが、煤竹の網込みが用意してありました。茶杓もはみ出ますので差込型を作りたいナと気がつきました。いろいろ考えて自由に変えるのが茶籠の愉しみです。

ここに紹介した七種の茶筥集は、私が十年をかけて復刻したアトリエ制作の オリジナル茶筥です。
仕覆の仕事をしているので「茶筥を組み合わせる」思考はこの上もない幸せなことです。自分自身を振り返る時「こんな仕事をしてきました」と少し胸を張って云えるようにも思います。今では、稀になりました。古布と語らいも無心の時・・・・!自分にとって充実した仕事に恵まれたので、まずは幸せです。
引き続き 私のコレクション集も紹介してブログ「茶筥を愉しむ」のカテゴリーを充実させようと考えています。