永井百合子が提案する・・・遊びや茶事の愉しみ


by kuyugengen

カテゴリ:茶事( 193 )

九游・玄々のこと

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十数年に渡りさまざまな茶事の演出を提案した金沢の時間は、今でも私のアルバムの1ページになっています。人は年齢を重ねると無理もできなくなる。58歳の時心機一転金沢に茶室と住まいを建築して、若い頃から育んできた自分らしいお茶の在り方を実践する場を見つけました。しかし私はお茶の先生ではないので、自分の表現できる茶の範囲の中で少し気の利いた道具を使い日常の茶人の在り方を全うしたいと思いました。漆の町金沢が舞台だったので、茶室の中にも自然な形で漆を使いたいと考えました。その思いは本席の天井と立礼席の床に思いを叶え夢の一歩を進みました。




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楽しい陶片を路地に敷き、にじり口の雰囲気にも親しみがあるようにと個性的な茶室構成にしました。そして茶室内部には古材を用いることで落ち着きある設えを表現。玄々と名付けた庵は「糸を束ねる」の語源もありその時ぐうぜん木曽の生糸問屋の玄関柱が変わる時期に当たり、庵の床柱にと縁を頂きました。四畳半の設えは愛着ある空間となりました。また薄茶席“九游”はいろいろに游ぶという意味を込めた呼び名です。天井は、ゆったりと古材で十字を組み、収集した茶筥や職人の力を得てオリジナル制作した茶筥などを披露して皆さんと共有の時を過ごしたものです。1年を通して五節句の茶事や降誕茶会の演出を楽しみました。現在お茶を卒業したので、茶室は少し手にあまる空間でもありますが、私の夢に花を咲かせた余韻が残っているように感じています。



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by kuyugengen | 2018-12-06 06:06 | 茶事 | Comments(0)

降誕祭の懐石

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茶事を回想しながらゆっくり書いています。寒い時期の懐石料理は温まる献立がご馳走です。甘みがあり新米のご飯が一番です。席中の釜で湯炊きは15分位“煮え花”が味わえる茶飯釜の醍醐味は、緊張するがやりがいのある仕事です。私は煮物椀に“みぞれ鍋”を掛け、強肴としてお出しする炊き合わせ(筑前焚き)のようなものを用意して炉中が空かないように気を使ったものです。そして最後に湯釜を掛けます。本来飯を炊き釜の蓋を変えて湯釜にしますが、釜を洗う時間が勿体ないので寒雉の古釜・車軸を掛けています。「亭主は年末大車輪でお持て成しです」と笑いを取っていました。20歳代から茶飯釜を師匠に習い長いキャリアがあったので春までの間毎回のことでした。ただこの茶事は、器の数も多いので、水屋仕事は大忙しです。


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星の形の向こうを依頼して段々とこの茶事も完成して行きました。陶芸家との意思疎通が解りあえるのは嬉しいことです。

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鍋の蓋も厚く造り沈金で柳蒔絵を施してはんなりとした風情を表現しました。



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真千代を野菜で染めて蕪をたっぷりすり「みぞれ」のように、そして霰柚子をたっぷり散らして椀盛は完成です。風炉先屏風は、和紙をプリーツに折り一面の銀世界を表し、米袋は大津袋を晒し木綿で作り大津袋の起源を表しました。冬ならではの持て成しは、客人からも歓喜の声があがります



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by kuyugengen | 2018-12-05 11:05 | 茶事 | Comments(0)

降誕茶会のたのしみ

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毎年師走が近づくとクリスマスを祝う茶事を愉しんだ日を想い出します。今年のような穏やかな年もあり又予想に反して雪が降った日もありました。気象のことや仕事のスケジュールを考えて毎回月始めに行いました。お客さまも降誕茶会に参加した記憶が深くなるようにと、肩から美しい異国の布を掛けて写真撮影をするといった演出をしたものです。どなたも100万ドルの笑顔ですね。


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主茶には、塩釉の瑠璃聖杯を表しています。薄茶席の離れの間はマハラジャの敷物「細かいミラーワーク」を敷き星空を表しました。私の性格としては、昔の思い出を語ることは、自分でもおかしい!でも余程楽しい思い出であったということのようです。今振り返りますと、忙しい日常にあってあれ程のハードで神経の張りつめた仕事は、もう一度やれと言われても、体がついていかないと思う。良い年齢の時に行ったと感謝しています。




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by kuyugengen | 2018-12-04 10:49 | 茶事 | Comments(0)

開炉の茶事回想

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(つくばい)に息ととのへり敷松葉 亭主のこころ客も知るなり

         




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11月になると茶の湯では開炉を迎え、風炉から炉へと移り茶庭や路地に松葉をほぐし一面に敷つめる作法があります。これは昔から苔庭であれば苔が傷まないように保護する、また茶庭には芝を用いないので、侘びた風情を景色に見立てる日本庭園独特の冬の装いとして考えられています。私の茶室の壺庭もそれに習い毎年敷松葉の用意をしていました。この仕事は老夫婦の親切に甘え夜なべ仕事で頑張ってもらっていました。松葉を切り1本々ほぐす仕事は松ヤニもつく仕事でゴミ袋いっぱいの量を用意するのは大変です。松の香りを感じながら水屋仕事に勤しむ私も毎年用意できることへの幸せに感謝して安堵したものです。


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福井出身横笛の演奏家福原一笛先生の演奏をお願いして雅な茶事を行った日も思い出されます。今考えると吾ながらがんばったと誉めてあげたいと思うようです。長い年月の茶事生活の思うことが叶えられて皆さんの支援をいっぱいに受けて幸せだったと感謝しています。



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飛び石に松葉を敷きてあらたまる 茶の正月は趣ふかし


           





by kuyugengen | 2018-10-31 21:29 | 茶事 | Comments(0)


台風の襲来の多い月です。8月の稽古も恙なく済み元気に夏を乗り越えたことは有難いことです。99日は新暦の「重陽の節句」です。古来奇数は縁起のよい陽数で偶数は好まれない陰数と考えられていました。季節の節目としてお祝いしたのが五節句です。重陽の節句は菊の節句とも呼ばれ、菊の花は薬草としても珍重されていました。



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「菊酒」をつくり、「被せ綿」といって前日に菊の花に綿を被せ、翌朝菊の露を含んだ綿で体を清めると長寿を賜るといわれていました。茶の世界では、菊の花に被せる真綿を赤・黄・緑など食紅を用いて染めて花に被せる風習が残っています。しかし本来は菊の盛りは109日頃にならないと様々な菊は揃えられず、薬用菊である山形産の「もって菊」の天然も手に入らない。そんな訳で、私は旧暦を待って重陽の茶会を主催していました。菊の香は清々しもので、今年の猛暑の辛さも忘れさせてくれると良いですね。


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床飾りは生の菊の花の薬玉を創り、軸は和歌巻朗詠集露の部・憐れむべし 九月初三の夜 露は真珠に似たり 月は弓に似たりを掛け朗読などしたものです。重陽の茶事は年数を重ねるごとに道具も充実して愉しい茶席となりました。




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(きせわた)綿をくるみて菊花夜もすがら

          あしたの君は若ゆばかりに





主菓子は、“栗きんとん”吉はしさんの栗は何とも美味であり口の中で解ける。しかし「栗の時期と蓬の時期は辛いです」とおっしゃる。毎日のことなので納得できるお答えです。




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by kuyugengen | 2018-08-31 20:08 | 茶事 | Comments(0)

乞巧奠の茶事回想

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今日も又蒸し暑い日になりました。雨の七夕ならばカササギが羽根を重ねあい天の川を渡してくれるのでハッピーエンドとなるはずです。しかし台風ではどうでしょう?古語の中に七夕が雨に降られると「(さい)涙雨(るいう)」と呼ぶゆかしい言葉が残っています。七夕を演出もマンネリにならないようにと考えるのは大変です。ふと蓮酒を祝儀にと考え、まわし呑みしたことがあります。「像花盃」といい縁起のよいものですが、蓮の葉の芯に針で穴をあけて茎から吸えるようにいたします。蓮の葉がしおれやすいので難しいものでした。




かささぎの羽根をひろげて天の川


            逢瀬やすかれ今宵たなばた




by kuyugengen | 2018-07-07 12:28 | 茶事 | Comments(0)

乞巧奠の茶事の回想

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七夕に使う梶の葉は信州諏訪大社では、境内に植えられていて、ご神木とされていました。使用方法は様々あり、神事の供え物の敷き物・人形(ひとがた)として厄を祓うなどです。




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茶の湯では玄々斎のお好みとして水指の葉蓋にも使われています。(これは相当大きい葉を手にいれなければなりません)本来のお好みは末廣籠の中の落し・受け筒に膝を塗り切り箔を短冊散らしにした思考のようです。玄々斎の巧な意匠は素晴らしい!七夕に因み七枚の梶の葉に歌を書くという伝えも残っています。




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床は御陽成院の和歌・花入は銅制の釣り花型の花器に涼を感じる夏座敷です。七夕の茶事では、歌を詠みあえると愉しいですね。





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本席の道具組は、切りあわせ風炉で軽やかに、水指はインパクトのある石畳み文様・加藤静允先生の作です。主茶は高麗青磁平・茶器は乾隆硝子・仕覆は短冊を刺繍した白地の袋と七夕の拵えは愉しいものでした。




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薄茶席の床には、短冊飾りをして五色の色紙で折り紙を折り歌を書く。干菓子器には、昔流行した糸屑入れの折り紙の中にお菓子を忍ばせてみました。これは細やかなお持て成しですが、女子には以外性もあり好評でした




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待合には、文房具飾り切れ手鏡や歌帳を飾り愉しい演出となりました。12年間の茶事は自分にできる限りをつく、やり終えたことに感謝の気持ちを込めました。思い出のアルバムとしてアップしました。

芋の葉に露をあつめて墨を摺る


          願いごと書き小竹(ささ)むすべる








by kuyugengen | 2018-07-04 05:49 | 茶事 | Comments(0)

重五の道具組

端午の道具組は本物の小太鼓を火鉢に転用して、落としを入れて、周りに羊歯(しだ)蒔絵などの草が蒔絵しある風炉を用いました。釜は兜型・水指は明七宝・主茶碗は引き出し黒・茶器は安南平仕覆はロンドンに渡り里帰りした錦です。茶杓は海田曲巷・風炉先屏風は、桑透かし網目、このような細かい繋ぎ文様を称して「永遠」を表しているといいます。


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by kuyugengen | 2018-04-24 08:30 | 茶事 | Comments(0)

重五の茶事の思考

端午の茶事を主催していた時は、お預け徳利の絵付けなどにも「龍鉄絵の(へん)()・三島・吹き墨み」などキリッとであったり少し“はんなり”となど気を使ったものです。向付けの皿もユニークな表情の寅の絵や鯉魚(りぎょ)の染付など楽しい道具を用いました。五節句の茶事は私の茶の思考の全てを表した茶会でした。今は、しなくなった茶事ですが、お客様と愉しみを共有でき縛られることない日常茶会が主催できたことは幸せでした。美味しいものの多い金沢の舞台も最高でした。季節になると懐かしいのでふと思い出すものです。


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by kuyugengen | 2018-04-23 18:39 | 茶事 | Comments(0)

思い出の観桜茶会の回想

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今日はNHK青山の稽古日でした。新人のお弟子さんの中に私のブログを愉しんで見ているとおっしゃる方があり、その話題の中に茶事の在り方がとても愉しい!お友達もそう言っていますょ。と話され嬉しく思いました。ふと、桜茶会のことを思い出す。玄関に枝垂桜があるので茶室にはあえて桜は飾らず、時を見計らって毎朝笹の枝を切り、釣り釜の鎖の穴に竹通す、笹の葉が丸まらない内に懐石が終わるので気を使う用意でした。それが出来たのも、玉家建設さんのお蔭でした。今でもよくやり通せたことを誇りに思い皆さまに感謝しています


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  釣り釜の揺らぎ見つめて客を待つ 銅鑼の響きに春の声きく


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桜の咲く頃は、花冷えでまだ寒い。最後となる茶飯釜をお客様にお出ししています。ほっこりとして暖かい春の到来です。現在茶事をしないので、こうして画像を通して楽しんでいます。たくさんの方々に来て頂いたことは、私の宝物となっています。







by kuyugengen | 2018-03-24 20:18 | 茶事 | Comments(0)