永井百合子が提案する・・・遊びや茶事の愉しみ


by kuyugengen

九游・玄々のこと

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十数年に渡りさまざまな茶事の演出を提案した金沢の時間は、今でも私のアルバムの1ページになっています。人は年齢を重ねると無理もできなくなる。58歳の時心機一転金沢に茶室と住まいを建築して、若い頃から育んできた自分らしいお茶の在り方を実践する場を見つけました。しかし私はお茶の先生ではないので、自分の表現できる茶の範囲の中で少し気の利いた道具を使い日常の茶人の在り方を全うしたいと思いました。漆の町金沢が舞台だったので、茶室の中にも自然な形で漆を使いたいと考えました。その思いは本席の天井と立礼席の床に思いを叶え夢の一歩を進みました。




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楽しい陶片を路地に敷き、にじり口の雰囲気にも親しみがあるようにと個性的な茶室構成にしました。そして茶室内部には古材を用いることで落ち着きある設えを表現。玄々と名付けた庵は「糸を束ねる」の語源もありその時ぐうぜん木曽の生糸問屋の玄関柱が変わる時期に当たり、庵の床柱にと縁を頂きました。四畳半の設えは愛着ある空間となりました。また薄茶席“九游”はいろいろに游ぶという意味を込めた呼び名です。天井は、ゆったりと古材で十字を組み、収集した茶筥や職人の力を得てオリジナル制作した茶筥などを披露して皆さんと共有の時を過ごしたものです。1年を通して五節句の茶事や降誕茶会の演出を楽しみました。現在お茶を卒業したので、茶室は少し手にあまる空間でもありますが、私の夢に花を咲かせた余韻が残っているように感じています。



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by kuyugengen | 2018-12-06 06:06 | 茶事 | Comments(0)