降誕祭の懐石
2018年 12月 05日
茶事を回想しながらゆっくり書いています。寒い時期の懐石料理は温まる献立がご馳走です。甘みがあり新米のご飯が一番です。席中の釜で湯炊きは15分位“煮え花”が味わえる茶飯釜の醍醐味は、緊張するがやりがいのある仕事です。私は煮物椀に“みぞれ鍋”を掛け、強肴としてお出しする炊き合わせ(筑前焚き)のようなものを用意して炉中が空かないように気を使ったものです。そして最後に湯釜を掛けます。本来飯を炊き釜の蓋を変えて湯釜にしますが、釜を洗う時間が勿体ないので寒雉の古釜・車軸を掛けています。「亭主は年末大車輪でお持て成しです」と笑いを取っていました。20歳代から茶飯釜を師匠に習い長いキャリアがあったので春までの間毎回のことでした。ただこの茶事は、器の数も多いので、水屋仕事は大忙しです。
星の形の向こうを依頼して段々とこの茶事も完成して行きました。陶芸家との意思疎通が解りあえるのは嬉しいことです。
鍋の蓋も厚く造り沈金で柳蒔絵を施してはんなりとした風情を表現しました。
真千代を野菜で染めて蕪をたっぷりすり「みぞれ」のように、そして霰柚子をたっぷり散らして椀盛は完成です。風炉先屏風は、和紙をプリーツに折り一面の銀世界を表し、米袋は大津袋を晒し木綿で作り大津袋の起源を表しました。冬ならではの持て成しは、客人からも歓喜の声があがります