永井百合子が提案する・・・遊びや茶事の愉しみ


by kuyugengen

しふく・袋もの

美しい日本の形“袋物の美”


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“このごろ針を持ったことないんです”とおっしゃる方も多くなりました。しかし余暇の時間を見つけ針を持つのは、気分も変り楽しいことです。“習うより慣れろ”は、お稽古ごとには共通した言葉のです。アトリエは随時、いつでも入会できます。しかし製作にかかわる茶道具などの器が必要となります。個人指導による、ゆっくりとした稽古です。

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★数点の仕覆を紹介します。印度の間道(縞もの)無地の木綿を接ぎ合わせた平茶盌用の袋です。納戸色の緒もよく似合っています

★この仕覆は、幕末の和更紗で、コンディションの良い時代切れです。このような更紗は、茶人の憧れの切れです。地色は、松煙染め(しょうえんぞめ)と呼ばれる技法で染められた更紗です。松煙とは、樹脂分の多い松材を燃焼させて作ったいわゆる「煤染」のことです。こうした更紗は、糸を手で紡いだ織物で温みのある生地です。更紗染めは、水の通らない色あせのない生地が上ものです。

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★粋な格子縞を表地に使い、裏に純子(どんす)を用い”裏まさり“を表現した作品です。詫びのある茶道具などに使ってみると良いでしょう!同系色の緒も品格を表しています。

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★最近は、御物袋に使いたいと思う古縮緬も見掛けなくなりました。これはと思う作品には、縮緬の風合いに近い布を選び、保護によい仕覆を作るよう心がけています。この作品は、江戸時代の蚊帳地を用いています。古い蚊帳地は、表具などに使っても良い味のものです。江戸時代は、布団地や蚊帳地などは大変貴重なもので、豪商など富裕層に伝わった染め織物です。また二色打ちの緒もこの作品の品格を強調しています。

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★まず最初に稽古する作品は、抹茶茶盌などの袋がよいでしょう!なぜかと云うと底を作る円周が真ん丸く出来にくいので、茶入を製作するまでに、こうした茶盌類の仕覆を何度も練習する必要があります。あまりあせらないでゆっくり取り組むことをお勧めします。たとえ器用に製作なさる方であっても稽古の繰り返しにより、上手を会得するものです。手仕事は、繰り返しの練習が大切です。

★ここで紹介する茶入の仕覆は、標準的な名物切れを用いた作品です。茶入が稽古用であるか・古美術品であるか・国焼きであってもその焼き物の種類により、純子・錦・間道・更紗・などいずれかの切れを選ぶ必要があります。常使いの紐なども、朽ちたりと稽古仕覆の修復も必要でしょう!それを自分で直し作ることが叶えば嬉しいことではないでしょうか。

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★振出(こんぺいとうなどを入れる小品)は、「編み袋」がよく用いらています。細かいカガリ糸を用いて組みあげる作品なので、底の部分も相当細かく〆るので、視力が良くなければ叶わないことです。

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★ここで煎茶に使う「ぼうふら」を紹介します。このような変形した作品も平面図に起こすことは可能です。写真のように糸で中心を振り分けて配分を決めて製図します。これはかなり上級の製図となりますが、煎茶の器を包むものに、必用ではと考えます。作品は、江戸時代の風合いの異なる蚊帳地で創りました。できあがりも、なかなか感じよく、保存に適した作品となりました。

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★急須の中詰も、平面図を起こし立体の作品を創ることができます。こうした作品の場合は、上級向けで、器物と相応した包み物となります。

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★もくもくと針を持っているだけでも飽きるので、私は合間に楽しい手遊びなどを考え取り入れています。例えば、雛祭りが近づくと蛤の包み物や豆雛・簡単な小物なども作ったりします。

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★おしゃれで機能的な巾着袋なども使い向きがよく、人気もあるようです。不要になった着物なども使い「切れ供養」と称して作品を作っています。

しふく・袋もの_d0133199_1022334.gif★志野流に伝わる12ヶ月の香袋・月ごとに変る紐結びは、見ているだけでも愉しいものです。

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★綿の花スタジオはこういう思いで創りました。 織物の文様を意匠したり、茶器や茶筥なども製作をしています。そうしたことが叶うのも、今まで縁あった職人の力量あっての完成品です。こうした作品を制作するようになったのは、お茶の世界をさらに深くして継続する為に必要があったから考えたことです。指物・塗りもの・金属などと幅広くあり、分業制作も多くあります。もともと私の目指す茶の湯が“日常愉しむ茶”であるから自分の力に合った作品を創っています。ここで私の愛玩する茶筥の一組みを紹介します。これは、蜂須賀家御用・塗師「飯塚観松斎」の作品・このような仕覆をつけました。

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★筥の仕覆には、江戸時代の豪華な縫いとりを用いました。★江戸時代の刺繍に、アップリケを施した珍しい切れです。

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★この籠は、「虫売り茶籠」と記名のある籠です。この仕覆は、表地に薄ものを二枚重ねてあります。こういう技法は、着物の仕立方にもあり、文様が透けて見えるので初夏使いとして、涼感を感ます。

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★この唐物茶籠は、おそらく極小のサイズのひと揃えであるように思います。籠の袋は、大胆な文様幕末・堺更紗を使いました。私にとって思い出のある籠の一つです。

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★これは、桃山時代カピタンの洋櫃を、茶筥に見立てた作品です。この筥は、普通寸の茶盌も入るので、便利に使っています。十字に見えるアフリカの切れも面白く使ってみました。

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★遠州好み「寄せ木の茶通筥」これは、アトリエオリジナルで創った作品です。美しい木目を使い “出会い桟蓋”(出会いさんぶた)の意匠で表現してあります。表切れは、「馬蹄繋ぎ八宝相紋」オリジナル“午年”の干支切れです。これは、文様も小さく使い向きの良い切れです。茶通筥は、小型の茶筥としても転用できるので"
マイ茶筥
”として使ってもいいでしょう!

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★金沢に自分らしい茶室を完成して、小庭の片隅に大きな七宝の網を作りました。これは朝顔の綱でマクラメを組んであります。毎年遠慮がちに朝顔が咲きます。

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毎年干支の帛紗の意匠をオリジナルとして製作しています。毎回ご贔屓さまのお蔭で来年は12年
ひと回りもうひと回りしょうと思います。よく続けられたと自分でも驚きです。みなさまのご協力のに感謝します。

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★東京で開講しています。 カリキュラムは、自由ですが、茶器の袋物全般から、香袋・数奇屋袋・またぐい呑みなど広範囲の袋物を稽古しています。アトリエに材料は、用意してあります。しかしお手持ちの切れのある方は、遠慮なくお持ち下さい。午前午後には、抹茶のサービス、金沢の注文菓子もあり楽しいレッスンです。アトリエは、さまざまな地方からのお集まりです。それは、紹介であったり、本を通してであったり、いろいろな縁で今日まで、長い間、アトリエを運営しています。早いもので私も還暦を過ぎ、そろそろ自分でも賞味期限かと思ったりしています。しかし、もう少し頑張ろうかナ!と考えています。時の移り行きに戸惑いながらも、いろいろの発想に思いを馳せて実践しています。このページを開いて戴いた方々が一人でも“袋物の美”に気づいて戴けたら、幸せに思います。お気楽にご相談下さい。



★東京教室 〒)104-0052・中央区月島2-1-1ー611  
TEL090-6546-9534 パソコンアドレス tiyokomakasai@opal.dti.ne.jp
  TEL・PCは、共通です。詳しい内容は携帯・PCでお問い合せ下さい。

   しふく・袋もの_d0133199_110188.jpg★プロフィール 
1948 松江市生まれ 東京の稽古場は、現在 中央区月島へ移りました。
★著書
はじめての手作り  お茶の袋もの世界文化社
 基本を紹介しながら、少し深く踏み込んだ教本です。コラムも豊富なので、仕覆を創らない方にも愉しんでもらえる本であると思います。
花結び“美しい紐あそび淡交社 
 茶の紐の結び方を「初心編から上級編」へと紹介しています。
*「仕覆をつくる 茶器の袋もの」日貿出版・
*「鑑賞と作り方・袋物の美」淡交社 
*2冊は絶版となっています。
永井亜希乃著・「はじめてでも必ずできる飾り結び」世界文化社 
若い人の考えで、解りやすい教本として出版しました。多くの方々から
      「よく理解できました。」と喜んでもらっている本です。
            永井亜希乃著・「大切な思い出を包む」小さな袋もの世界文化社
                          2冊目の本 ユニークな表現で面白い。
              

ひとこと~
このページは、「仕覆はどんなもの?」と思われる方のために簡単に纏めてあります。H28年12月をもって茶事の愉しみの提案は終わりました。ブログ・カテゴリー「茶事」に記録が残っています。ご興味ある方はご覧下さい。
アトリエでは仕覆に使用する紐類も制作しています。仕覆つくり全ての分野をアトリエでまかなえるようになり充実しています。

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タイトル「いれ筥日記」(いれこ日記)ってどういう意味ですか?とのお尋ねもしばしばあるのでお説明します。日本は昔から機能的な道具・用途に合わせた日常の品物がたくさん生まれています。こうした合理的でシンプルな商品は美しい!大きい箱の中からひと回り小さい箱が出てくる、さらに小さくなり極小となる、いれこの箱は金沢・広阪の「能作」さんの陳列の中にありました。日本はもちろん海外でも使えそうな「いれ筥の盆」を目にして心を打たれる。そんな時「グログのタイトルにどうだろう!」と思い、さまざまなカテゴリーが増えても調和する読みものでありたいと考え、タイトルに使いました。箱の字を筥と用いて「いれこ日記」です。カテゴリーも増え私の日常生活の記録を綴っている人気ブログです。どうぞよろしく
by kuyugengen | 2011-05-07 09:07 | 仕覆H・Pとして | Comments(0)