永井百合子が提案する・・・遊びや茶事の愉しみ


by kuyugengen

桜茶会の愉しみ

     
  待合の床は細野燕台82歳の筆「清芳」清らかで芳しい春をイメージしています。

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2日に金沢に着き3日は大あわてでテンテコ舞いの一日でした。金沢の春は近年珍しい花冷え 桜も寒そうに見えます。今回から懐石・薄茶席は”九游”で行うこととなります。風炉に近づくと気分も変わりますので、立礼はよい趣きと言えるのではないでしょうか?待合には、元禄時代の花見弁当を飾り本日のお客さまをお待ちしています。待合のお湯には、桜守で名高い京都の佐藤さま庭前の黄さくら・御衣こうさくらの塩漬けを使いました。汲み出し茶碗の中にも春が舞っています

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九游立礼席の花は、 野の山遊びの風情で背負い籠にいっぱいの春草を抱えています。

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金沢で親しくなったある骨董店の主人が、山奥深く分け入り「花屋にはないもの摘んできましたョ」と”かたくり・岩団扇・山桜・菊咲きいちげ・延齢草”などの到来あり、さっそく待合の花として、漢代緑釉の小壷に生けてみました。珍しい花をありがとうございました。 

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先月より茶事のスタッフの中に金沢の金工作家木瀬浩詞君も加わり真剣に取組んでいます。
         
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本席の設えは、上臈の花見をテーマにしましたので、若女の面を飾り、待ちこがれた春なので、桜の枝も大きく生けてみました。桜茶会に桜を生けるのは、ぶすいな話ではありますが、金沢は現在、ようやく街の並木も桜色となり急ぎ足の春のようです。本席の面は、明治期に金沢で活躍したという松雲の作です。そんなに古いものではありませんが、地元の作家と云う意味でも嬉しいものです。

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今月から本来の釣り釜になりますので、私も改めて炉の灰をふるい五徳を外したので何となくすっきりと致しました。ざんぐりとした藪の内流の霰灰 存星の炉縁などは、ことの他風情のあるものです。

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懐石をお願いしている金沢の老舗銭屋さんに、今日は、ドイツから若きレデイが勉強に見えていました。ちょっと日本文化を垣間見て・・・・・!なのでしょうか?ご主人の語る流暢な語学力のお蔭もあってか楽しそうな金沢滞在のように見えました。

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花見にちなみ信玄弁当を用いました。娘が昨年網袋を創ってくれたので、今年も重宝しています。お客さまにも喜んで貰いました。始まる前に撮影したので、箸を置き忘れました。"ショック!”

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               花見には欠かせない木の芽田楽の色も鮮やかです。

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懐石を久しぶりに立礼で行いましたので、慣れずちょっと間合いもよくなかった点は、反省でーす!しかし無事に本席濃茶も始まり上機嫌で話しています。釣り釜に掛けた調べの緒の様子からも鼓の音が聞こえてくるようです。懐石・お茶の点前も毎回タイミングとさくまえが異なるので、いつも反省の繰り返しです。

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今月の煮物椀は、「あいなめの薄葛桜仕立て」季節の味を存分に表現できた加減の良いお椀です。

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薄茶席は毎回茶筥で愉しんでいますが、春秋の蒔絵が施されているので、桜茶会には、この茶筥をいつも使うようにしています。
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                   茶筥の小服茶碗も可愛らしいですね!

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ひとつ置きの水指は、木瀬浩詞の作品です。長板に置くとどっしりとしていい感じです。金工の作品ではあるものの、どこか彼らしい独自の温かみを感じる作品です。私は、いろいろの使い勝手を考え愉しんでいます。これからも彼の才能を引き出し、いろいろな作品を生み出したいと期待しています。
by kuyugengen | 2010-04-04 07:38 | 茶事 | Comments(0)