永井百合子が提案する・・・遊びや茶事の愉しみ


by kuyugengen

開炉の茶事

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開炉の茶事の待合は、11月桜と初冠雪(はつかんせつ)という花先だけ白い竜胆2種ともに名前がご馳走なお花です。
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             待合には、元禄時代の埜弁当を飾り秋の風情を愉しみました。

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炭点前の本番です。藪ノ内流の炭点前は、黄帛紗をつけることになっています。茶の世界では、陰の気が強いこの月には、陽である火を客に近づけて陰・陽のバランスをとっています。最後には炉縁をロの字に拭いて釜の蓋を点前に切り、懐石の用意をお知らせいたします。

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本日の煮物椀は「伊勢海老真千代」味噌も中に詰めてあり素晴らしいメインデッシュです。

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めでたき日の焼き物ですから銭屋さんのお勧めで、加賀料理の「唐蒸し焼き」をご用意戴きました。鯛のお腹の中には、卯の花が詰めてあります。婚礼の時は“にらみ鯛”で大きな鯛が用意されるようです。八寸には虫籠を使いみなさまを驚かせました。

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主菓子は「亥の子餅」です。亥の子餅は、朝廷では天皇が亥の日に柳の臼で亥の方向を向いてついた餅を亥の子の形を模り錦に包み御料とした慣わしのあるようです。現代でも宮中では、釜を開く時たとう紙に包み配られるようです。茶の風習にもそうした慣わしが残り「玄猪包み」という香合も残されています。

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 主菓子の「亥の子餅」は水本製です。吉備粉・白玉粉・黒小豆のこし餡で品良く作っています。

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   本席の掛け物は壬生二位 藤原家隆卿 三首懐紙
・松の戸をおし開けがたの 山の葉に 雲もかからぬ 月をみるかな
・ふるさとのみがきヶ原の はじ紅葉 こころと散らせ 秋のこがらし
・たがために 人のかた糸 よりかけて わが玉の緒の たえんとすらん

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醍醐寺懐紙・呂宋の壷飾りなどして開炉の雰囲気も上々です。床の花は雛侘び助・がまずみの名残葉です。

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一服濃い茶にて和やかに茶席もほころびます。炭点前の座掃きに入る羽根の扱いも27手で清めます。大変熟練のいる点前です。しかし畳をかすめる羽根の音を聞きながらの亭主の動作は見る人にとっては風流なもののようです。
by kuyugengen | 2009-11-11 16:10 | 茶事 | Comments(0)